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「3月のライオン 後編」自分を見つめ直すことの出来る傑作!

3月のライオン 後編」を観てきました

 前編に続き,「3月のライオン 後編」を観てきました。いや〜,感動しました。どのような立場の人にとっても,「自分を見つめ直すことの出来る」傑作だと思います。 

es60.hatenablog.com

 前編は,主人公「零」 の生い立ちとそこから生まれる葛藤,引き取られた幸田家との確執,偶然関わり合うことになる川本家とのふれあい,様々な棋士達との盤を挟んだせめぎ合いが重厚に描かれていました。

  それを受けた後編では,零と川本家の二女「ひなた」とのすれ違い,急に舞い戻ってきた父親と対する川本3姉妹の決断,幸田家の子ども達の再出発,タイトル戦に伴う各棋士達の葛藤等,様々なエピソードをふんだんに盛り込みながらも,決して破綻することなく描ききっており,作品そのものの完成度を感じました。

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零と川本3姉妹との関わりから見える「覚悟」

 後編のストーリーの多くを割いているのが,零と川本3姉妹との二つの関わりです。

  一つ目は,二女「ひなた」が関わってしまったいじめ問題。
 「正義」か「妥協」かという普遍的な問題を,実に生々しく描いていました。ひなたの考え方と自分のこれまでの生き様とを重ねて,救われた思いになるとともにひなたへの愛情に気付いていく零。いったんは折れそうになるながらも,家族の支えによって立ち直っていくひなた。
 互いに恵まれない環境の中で,自分の存在価値や生き方を探りながらもがいている様子は,我々にも,
「がんばらないといけない」
というメッセージを届けているように感じました。

  二つ目は,娘達を捨てて出て行った父親が舞い戻ってきたこと。
 娘達を捨てたことを責めることで3人を守ろうとする零,「それでも父親なの…」と親子の結びつきに揺れる3姉妹。絶望的な疎外感に見舞われて「自分には将棋しかない」と追い込まれる零。
 意義詰まるようなせめぎ合いの中,零も,3姉妹も,それぞれの解答を導き出すためにもがき,苦しみます。そして見つけ出した答え。互いを思うこと,自分が自分であることの覚悟…重いテーマなのですが,爽やかに心に染み渡りました。

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「将棋は何も奪わない…」

 将棋に心奪われた人々の心の描き方も見事でした。

 その1 幸田家の子ども達

 プロ棋士になれなかったことで,自分たちの人生がうまくいかなかったことを将棋のせいにしてしまう,幸田家の子ども達。
 長女の香子は,プロ棋士後藤との関係がうまくいかないことさえも将棋のせいにしてしまい,
「すべて将棋に奪われた」
と自暴自棄になってしまいます。そんな香子を諭したのが父。子どもの頃に零に負けた対局を再現し,香子に勝ちの手があったことを指摘します。香子が自ら勝ちを逃していたことを告げ,

「将棋は何も奪わないよ。君があきらめなければ…」
と語りかけます。これを機に前を向き始める香子…

  何事にも解決策はある… あきらめたら終わり… 責任転嫁はいかん… 人生は考え方次第… 等々,厳しくも希望にあふれる描かれ方でした。

 

その2 後藤棋士宗谷名人

 闘病中の妻と将棋との間でぶざまにもかっこよく揺れ動く後藤。他を寄せ付けない力量を見せつける絶対的存在でありながら,そのストレスから聴力に不安を抱えるようになった宗谷
 プロとして,勝負師としての厳しさ,強さ,弱さ等が見事に描かれていました。零も,川本3姉妹との行き違いから「自分には将棋しかない」と視野を狭めてしまう場面がありました。
 しかし,最後には後藤と香子のよりが戻ったり,零と川本家とが和解したりと,「勝負師たる以前の大切なもの」を見つけ出していきます。観ている側に,
「自分の大切なものをしっかりとつかまえておきなさい」
と語りかけているようでした。

 

続編も観てみたい

 この作品,漫画が原作のようです。そちらは観たことがないので何ともいえないのですが,「ぜひ続編が観てみたい」と感じるのは私だけではないでしょう。
 成長した零が川本家の人々とどのように関わっていくのか,棋士としてどのような成長を遂げていくのか…
 楽しみに待ちたいと思います。

  映画のラストシーン後,スクリーンを桜吹雪が流れ,藤原さくらさんの「春の歌」が聴こえ始めました。いい。実にいい。次回は新譜発売間近の藤原さんについてお届けします。