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読了「検察側の罪人」/雫井脩介〜重厚な筆力に圧倒〜

映画化で注目を浴びる「検察側の罪人」を読んでみた

 2018年8/24の公開でありながら,ずいぶんと以前から映画「検察側の罪人」の話題が盛り上がっていました。 

 なんといっても「木村拓哉VS二宮和也」というキャスティングに注目が集まっていますよね。

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『ジャニーズの中でも演技派の2人が,「検察官」をどのように演じるのか…』
という論点は分かっていたのですが,実際に中身を読んだことがない私は内容が気になって仕方なくなってしまい,遅ればせながら手にとってみることにしました。

 

物語の重厚さ,精緻な心理描写に圧倒される

 本作「検察側の罪人」は,別册文藝春秋で,2012年9月号〜2013年9月号の期間に掲載されていたようです。直後に単行本化され,現在は文庫化もされていますね。

 ネタバレにならない程度に評価させていただきますが,一言で言えば「重厚に書きぶりに圧倒される」素晴らしい作品です。

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 主人公は東京地検の検事最上と,将来を嘱望されるその部下沖野。
 順調に出世の階段を上り,部下からの信頼も厚い最上と,その最上を心から慕う沖野ですが,ある事件をきっかけに互いの歯車が急速に狂い始めます。

 

 最上の心を支配する過去の凶悪事件。現在の自分の立場と自らの検察人生の起点ともなるその事件との間で揺れる様が,本作の肝となっています。

 物語の「動線」は非常に狭い範囲に限られ推理小説にありがちな「あっちこっちに飛びながら収束に向かう」という軽快さはありません。しかし,その「狭く重苦しい舞台」に読み手をぐいぐい引き込むだけの絶対的な筆力が雫井さんにはあるのです。

 その理由を考えてみるに,まずは最上や沖野が思い,悩むテーマが,「検察官として,人間としてどうあるか」という非常に根源的な点であることです。その裏側に,人間のもつ「自らの根源となる部分」「友人とのしがらみ」「正義の在り方」等,我々が生きていく上で蓋をしたくても逃げならない部分をどこまでも追求しようとする雫井さんのポリシーがあるように思えてなりません。だからこそ物語に厚みが生まれてくるのでしょう。

 

 また,それぞれの「悩み」「葛藤」ときには「狂気」までが,実に緻密に繊細に描かれていきます。だからこそ,
「重厚なのに息苦しくない」
という読了感を得ることができたのだと考えています。

 

これまでなぜ雫井作品を読まなかったのだろう?

 本作読了後,雫井作品を何冊か購入して読み始めています。

 まずは「虚貌」を手に取ったのですが…

 これもすごいです!
 序盤ですでに引き込まれています。書き味はやはり「検察側の罪人」と共通しているような印象。人物描写が非常に巧みで,過去と現在の間で揺れる人間の闇を描くというスタイルも「雫井流」を貫いているようです。

 もちろん「虚貌」の方がかなり以前の作品になるのですが,その筆力を感じることができると同時に,「ブレない雫井流のスタイル」を感じることができるという点で「本物感」がビシビシと伝わってきます。

「なぜこれまで雫井作品を読む機会が無かったんだろうなあ。」
と,残念な気持ちがある反面,
「これから旧作をたくさん読むことができる。」
という新たな楽しみを見つけることができた喜びも感じています。

 

映画化で「重厚さ」をどこまで表現できるか?

 さて,映画化が成功するかどうか?

 個人的にいえば,最上にしても沖野にしても,適役は他にいるかな?というのが正直なところです。

 最上の闇の深さ,狂気ぶりを描くには,木村さんではやや荷が重いのでは…

 また,沖野の極限の葛藤を果たして二宮さんが演じ切れるかどうか…

 要は,2人ともやや「軽さ」が感じられるのです。この2人を演じるには,「絶対的な重さ」が必要だと思います。もししっかりと演じ切ることができたなら,お二人とも「一皮むけて一流俳優の仲間入り」と言える段階まで自らの存在を高めることができるのではないでしょうか?

 二人を取り囲む脇役には,素晴らしい方々がキャスティングされているようです。こちらは心配なさそう。あとは2人次第といったところですね。
 いずれにしても公開が楽しみな作品です。f:id:es60:20171216123726j:plain

検察側の罪人 上 (文春文庫)

検察側の罪人 上 (文春文庫)

 
検察側の罪人 下 (文春文庫)

検察側の罪人 下 (文春文庫)

 
検察側の罪人

検察側の罪人

 
虚貌〈上〉 (幻冬舎文庫)

虚貌〈上〉 (幻冬舎文庫)

 
虚貌〈下〉 (幻冬舎文庫)

虚貌〈下〉 (幻冬舎文庫)

 
虚貌

虚貌